
継続的インテグレーションの自動ビルド失敗時に開発者に通知する手段はメールだけではありません。今回は、Jenkinsのビルドが失敗した場合にSlack通知を自動で行う方法を紹介します。
はじめに
JenkinsなどのCI/CDツールで自動ビルドが失敗した場合、開発者にビルド失敗を迅速に通知する必要があります。通知する手段としては、昔からあるメール通知は当然として、メッセンジャーで通知する方法が今では一般的です。メッセンジャーとしてはHipChatとSlackがメジャーです。
今回は、Jenkinsのパイプラインジョブにおいて、ビルドが失敗した場合に、Slackで通知する方法を紹介します。
前提
以下の準備が完了している必要があります。
- Jenkinsが構築済みであること
- Jenkins内でDockerが実行可能であること
- GitHubのアカウントがあること
- Slackのアカウントがあること
このやり方がわからない場合は以前の記事「爆速でJenkinsをマスターしよう(Docker編)」を参照してください。
また、ビルド失敗を検証するサンプルアプリケーションとして、以前の記事「爆速でJenkinsをマスターしよう(メール通知編)」で作成したものを使うので必要に応じて参照してください。
Slackのチャンネル作成と設定
Slackのチャンネル作成
任意のチャンネル名(今回は「#alerts」)を入力し、「チャンネルを作成する」をクリックします。
このチャンネルはSlackの通知を受け取るチャンネルとして使います。
SlackのWebhook用のアプリの追加
「App 管理」をクリックします。
「webhook」でアプリを検索して「Incoming Webhook」クリックします。
「設定を追加」をクリックします。
チャンネルに先程作成したチャンネル名(今回は「#alerts」)を選択し、「Incoming Webhook インテグレーションの追加」をクリックします。
これでアプリの追加は完了です。
「Webhook URL」が発行されていますね。
これを以下の3つの情報としてJenkinsに設定します。
- Team Subdomain
- Base URL
- Secret text
メモしておきましょう。
JenkinsのSlack通知用の設定
Slack用のプラグインを入れる
「Jenkinsの管理」から「プラグインの管理」をクリックします。
Slack通知用のプラグイン「Slack Notification」にチェックを入れて、「ダウンロードして再起動後にインストール」をクリックします。
Jenkinsの再起動が完了すればOKです。
SlackのWebhookの認証情報の設定
Slackで設定したWebhookの情報を元に、Jenkinsに認証情報を設定します。
「認証情報」から「Jenkins」をクリックします。
「グローバルドメイン」の「Add credentials」をクリックします。
「種類」に「Secret text」を選択し、「Secret」にWebhookのSecret textを入力し、IDに任意の名前(今回は「slack-webhook-url-credentials」)を付けて、「保存」をクリックします。
認証情報が追加されていればOKです。
大丈夫ですね。
Slack通知用の設定
JenkinsにSlack通知の設定を追加します。
「Jenkinsの管理」から「システムの設定」をクリックします。
「Global Slack Notifier Setting」から、「Base URL」と「Team Subdomain」にSlackの情報を入力し、「Integration Token Credential ID」に先程作成した認証情報(slack-webhook-url-credentials)を選択します。
「保存」をクリックすれば完了です。
Slack通知用のパイプラインの設定ファイル作成
今回は以前の「爆速でJenkinsをマスターしよう(メール通知編)」で準備したビルドが失敗するサンプルアプリケーションをベースにして、設定ファイルを追加することにしましょう。
ベースを作る
以前作ったプロジェクトをクローンし、新しくJenkinfileを追加します。
$ git clone https://github.com/{your-github-account}/devops_fail_build_nodejs.git
$ touch Jenkinsfile.slack
「{your-github-account}」は自分のGitHubアカウント名に置き換えてください。
Jenkinsのパイプラインの設定ファイルの作成
Jenkins.slack
今回はビルド失敗時に、Slackに赤色でジョブ名、ジョブ番号、ジョブURLを送信してみましょう。
node {
def app
try {
stage('Clone repository') {
checkout scm
}
stage('Build image') {
app = docker.build('{your-github-account}/devops_fail_build_nodejs')
}
stage('Test') {
app.inside {
sh 'npm install --only=dev'
sh 'npm test'
}
}
} catch(error) {
currentBuild.result = "FAILURE";
slackSend (color: '#FF0000', message: "FAILED: Job '${env.JOB_NAME} [${env.BUILD_NUMBER}]' (${env.BUILD_URL})")
throw error;
}
}
GitHubにPushしましょう。
$ git add .
$ git commit -m 'Add jenkinsfile for slack notification'
$ git push origin master
これで準備は整いました。
Slack通知の動作確認
最後にJenkinsのパイプラインのビルド失敗時にSlack通知が動作することを確認しましょう。
パイプラインジョブを作る
「新規ジョブ作成」をクリックします。
任意のジョブ名(今回は「slack_notification」)を入力し、「パイプライン」を選択し、「OK」をクリックします。
「パイプライン」から「Pipeline script from SCM」を選択して、「リポジトリURL」を入力し、「Script Path」には先程作成した「Jenkinsfile.slack」を指定します。
「保存」をクリックすればジョブ作成は完了です。
失敗するビルドを実行し、Slack通知を確認する
いよいよビルドしてみましょう。
「ビルド実行」をクリックします。
想定通りビルドが失敗しました。ビルド番号をクリックして出力結果を確認してみましょう。
「Console Output」を見てみましょう。
テストが失敗し、Slackに情報が送信されています。
それでは、Slack側も確認しましょう。
SlackにJenkinsからビルド失敗のメッセージがビルド結果ページのURL付きで届いています。
OKですね。
最後に
いかがでしたか?これでJenkinsのパイプラインのビルド失敗時にSlackで開発者に通知することができるようになったことでしょう。メールよりもSlackの方が迅速に連携が取れるので、より効率的に継続的インテグレーションが実現できますね。では。
環境
- Jenkins: 2.151